どうやら第二の思春期が来たらしい。

見た目はリア充完全武装。心は荒んだクリスタル。アラサー独女の日々。

医者がイケメンなのは迷惑以外の何ものでもない

夏に受けた健康診断の結果がこの前届いた。

 

受けに行くのはめんどくさいと思いつつ、公的に仕事に遅刻できるので健診嫌いじゃない。

心電図を受けるときに、「あ、腹まわりのムダ毛、処理してない」と、看護師の目の前で衣服をまくった時に毎回気づく。時すでにお寿司。腹も胸も露わな武装ゼロの状態で開き直る。忘れてくれ、わたしの毛も顔も。

 

そんなことはどうだっていいのだが(いやよくないかも)、封筒を開けて入っていたA4版の紙にはいかにも危機的状況を物語るような堂々たる赤い文字。

そう、28歳独女、人生で初めて精密検査の収集令状を頂いてしまったのだ。

 

「血液脂質の数値が異常なので直ちに精密検査を受けてください」

2枚目には、わたしの血液成分がどれほど異常なのかが赤裸々にも数値で表された紙が同封されていた。

会ったこともない奴に自分でも分からない自分の部分を数値化され、しかも理路整然と異常だと否定され、それを安安と納得する者はいるのだろうか。

赤裸々な私の部分を異常だと決めつけやがったマゼンタ色のその文字に私は静かな怒りを覚えた。

 

私が「異常」とされたのは、血液脂質。つまりコレステロール値。

コレステロールには、HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールがあるらしく、悪玉コレステロールが高いと、いわゆる動脈硬化心筋梗塞になる恐れがあるらしい。

しかし私の場合は、悪玉コレステロールが基準値を下回りすぎて数値外、逆に善玉コレステロールが高すぎるという。善玉が高いならええやん何が異常やねん!と用紙にデコピンしつつも正直内心ビビっていたので一応調べてみたところ、善玉と悪玉の数値に差がありすぎるのも問題らしい。

 

あらかじめ言っておくが私は常日頃から健康には気を使っている。

俗に言うスーパーフードはほとんど試したし、お手製グリーンスムージーでプチファスティングする日だってある。昨年はホットヨガにも通っていたし、休日の朝にはお気に入りのウェアを着てジョギングだってする。

どうだ、たったこれだけの項目を並べても私がいかに健康オタクか分かるだろう。しかもまんまとメディアに踊らされたミーハーだというスパイスも効いている。そのへんの中肉中背アマチュア武装アラサーと一緒にしてもらっちゃ困る。

 

 

 

とにかくこんだけ健康に気を遣っているこの私が再検査だなんておかしいに決まっている。

というか、会ったこともないこの私に「異常だ」とレッテルを貼りやがった薄ら禿げヤブ医者はどんな顔をしやがるのかこの目に焼き付けておこうという怒りを抱え、再度病院に出向いたのである。

 

もはやこの怒りをどこにぶつければ正当なのか分からなくなってきたが、相も変わらぬプロ並みな流れ作業を淡々とこなす愛嬌のない優しい看護師さんに番号で呼ばれ、薄ら禿げの待つ部屋に通された。

 

部屋に入って驚いた。

え、おいおいおいおい、

全然禿げてない。

むしろイケメンやん。。。

 

そこで待っていたのは、

いかにもこの近所のママと波乱な昼顔を繰り広げていそうな、東幹久 似のソース顔イケメン。(推定41歳)

私の脳内には、寝ぼけた無責任禿げちゃびんが既にイメージ化されていたため、予想を反する事の流れにいきなり出鼻をくじかれた。

 

「健康診断の結果にご不安があり、再検査ご希望ですね。」

「はい。」

「実はですね、はっきり言いますが、再検査は必要ありません。」

「えっ、、」

「善玉が多く、悪玉が低いのは健康体の証。もはや模範的です。悪玉と善玉の数値がここまで開くのは、おそらく遺伝でしょう。このままいけば、ご長寿です。」

「たぶん再検査をしても、また同じ数値が出ると思います。それにお金をかけるのは無駄ですし、やらない方向でよろしいですか?」

 

 

東幹久はニコニコと優しく私を諭し、しかも検査や薬で金を取るようなヤブ医者とは違い、無駄な金は払わなくていいとまで言ってくれた。

なんという予想外の連続。

さっきまでの行き場のない怒りはひゅるひゅるとしぼんでいき、私は東幹久の言う通りに病室を後にするしかなかった。

待合室でぼんやり待っていた時にふと目をやった本棚にあった本のタイトルは、「そのままの、あなたが素晴らしい」

混乱した。

 

 

会計の際再び番号で呼ばれ、払った金額は初診代問診代含めて850円。

 イケメン東幹久に優しく諭された代、850円。無駄な金は払わなくていいって言ったのに。この850円は、東幹久に不安と怒りを鎮めてもらった接待代と思うしかないのだろうか。

 

帰り道に、ふと思う。

そもそもこの数値は「異常」ではなかったのなら、今日のこの時間と金はなんのために使ったのか。

というか、異常と言ったはずの本人に正常だと言われて大人しく帰ってくる私は、ただのイケメンに振り回されるバカ正直な尽くすタイプの女と一緒ではないか。

 

家に帰るまでの道中に、太るからという理由でいつも避けているケーキ屋がある。若干の自暴自棄になった私は吸い込まれるようにケーキ屋のショーケースの前に行き、ガトーショコラひとつとフルーツタルトひとつとチョコクッキー一袋を買った。

コレステロール?そんなもん知らん。

血糖値の急上昇にしばし身を任せ、全てを平らげたあとには胸やけと罪悪感が残った。否定され、肯定され、心をかき乱された私を癒すのは甘いスイーツしかないのに、そいつにまで裏切られた気分だ。

 

とりあえず、乱されに乱されまくった混乱アラサーが声を大にして言いたいのは、

医者がイケメンなのは、迷惑だという事である。

男の自慢話と女の裏切り

男の自慢話が嫌いだ。

いや、自慢話をする男が嫌いなのかもしれない。

女の自慢話もいい物ではないが、男のするそれは、なんというかもうほんと胸くそ悪い。だって浅はかだから。

 

先日参加した同窓会。同窓会というか、友達が友達を呼んだこともあり、初対面同士が多数の飲み会。

三次会まで出たのだが、男性出席者が多かったこともあり「オレ」を語る男がたくさんいて実に疲れた。

ある女性が月9の話題を振ろうものなら、オレ忙しくて9時までに帰れないから月9ってみたことないんだよね、最近は〜を任されてて後輩の指導も〜で結局オレが尻ぬぐいしたんだけどサあれはひどかったヨ、だの、

昨日まで1カ月間泊まりの研修で今日も寝ないで結婚式に出席したんだヨ、睡眠時間は3日で平均4時間くらいでサ、だの、

オレ営業だからサ、注がれた酒は必ず空にして次の酒を頂かないと、それって社会人として当たり前だよね、アレ?空にしてないの?ダメダメ〜〜そゆとこ〜〜、だの。

 

思い出せないだけで実際はもっとこういった美味くないつまみが各テーブル散り散りに散りばめられていた。

男同士で言い合うぐらいならまだマシ。

対女性になると、会話の中の「オレ」は通常の二割り増しでデキるオレと化す。

 

月9の話題を振ったのに、返された言葉が自分の仕事の自慢だった事に女性は違和感を感じずにはいられない。

しかしその奥ゆかしい女性は、忙しいんだね。大変だね。と、綺麗な眉を下げその場限定の大和撫子ヅラを被る。

たとえヅラでも、そのような顔を作れる寛大な心に拍手を送りたい。 大和撫子どころか私には聖母の影すらみえる。

 

 

しかし男性諸君、知っているだろうか。

そのしょうもない自慢は、自分の価値を下げに下げまくっていることを。

 

 

 

 

 

知っているだろうか。

あなたがオレを語っていた最中、その女性は近場にいた女友達に「ウザい助けて」のアイコンタクトを送っていたことを。

 

 

 

 

 

 

知っているだろうか。

あとから女性陣だけで、「あのつまらない男の話によく耐えたね」と乾杯がなされた事を。

 

 

 

 

 

 

知っているだろうか。

女性は、男性のしょうもない自慢話が二割り増しだということにとっくに気付いているという事を。

 

例え自慢話に聞こえないような遠回しな言い方にしても、女性は必ず頭の中でキチンと二割り減で話を聞いているし、ああこの人の器は所詮豆皿程度ねとこっそりレッテルを貼っている。

まれに、喜んで乗っていくバカな女もいるがそれは根っからのバカなので、換算していない。

 

自分のことを語れば女はオレに惚れるとでも思っているのだろうか。

 女を甘く見ない方がいい。

軽く口走ったあなたの話は、女同士の飲み会で二割り増しのウザさで語られている。

28歳女の心の内

日々、思うことがありすぎる。

 

朝起きて体重を計れば謎の700グラム増量に肩を落としたり、

眉毛が左右対称に描けて少しだけ幸せを感じたり、

出勤したら後輩から上司への愚痴を延々と聞かされたり、

昼休憩に好物のシュークリームを食べようかコンビニのスイーツ売り場で4分くらい考えたり(700グラム増量がつきまとう)、

後輩は定時で上がらせ無駄な残業を少しだけして先輩風を吹かせてみたり、

帰宅したら同棲している彼氏がシュークリームを買って待っていてくれたり(2個目)、

夜のスキンケアにいい値段の美容液を使ってムカつくあいつの顔を思い浮かべて優越感に浸ってみたり、

 

忙しすぎる。

私の頭と感情は忙しすぎる。

こう文字に起こすと、私の毎日の生活は実に平和だ。これをリア充というのだろう。

しかし本当のところリアが充しているとは思えない。

周りからそう見えるように、毎日完全武装するのに必死なのだ。

 

日々様々なことが起こるのは幸せの証拠なのだろうが、

不器用な私は一個一個真正面からぶつかってしまうのである。

もちろん時には受け流すこともあるが、その瞬間は上手く流せたとしても、必ず後から忘れた頃に「あのさこの前のアレなんだけど」みたいな顔して私の心に戻ってくる(主に生理前の不安定な時に)

 

今私は28歳。

やまとなでしこ」というドラマで松嶋菜々子が、「女が最高値で売れるのは28歳」と言っていた。

マジ?私、今のこの感じが人生で一番価値があるんだとしたら、この先どうなんねん。

毎日の完全武装にも限界がある。

自分の生活の主導権は自分で握れるようにならねばいけない。振り回されたくない。自分の感情にも、周りの突っつきにも。

 

あれ?もしかして、これって、13、14歳頃の反抗期真っ盛りの感じに、似てるかも。

只今人生2度目の思春期満喫中独女の毎日の日々。

これから徒然なるままに綴っていきたいと思う。

 

まあ要するに、こじれたアラサーのただの日記である。